祇 王 寺

パンフレットによれば、この祇王寺は大覚寺の塔頭で真言宗のお寺である。有名な祇王の物語は次の通りである。 「祇王は近江の国江辺生の庄司の娘であったが、父が罪に問われ北陸に流されたため、母・妹の祇女と共に京に出て白拍子となる。そののち祇王は清盛の寵を得て、安隠に暮らしていた。しかし加賀の国の仏御前という白拍子が、清盛の西八条の館を訪れ、舞を見せたいと申し出た清盛は門前払いをしたが、祇王の取りなしで仏御前を呼び入れて、今様を謡わせた。声も節もすこぶる上手で、清盛は忽ちにして仏御前に惹かれてしまい、ついに祇王から仏御前に心を移してしまった。そして祇王は 萌え出ずるも 枯るるも同じ 野辺の草 いずれか秋に あはで果つべき 祇王 と障子に書き残して、館を追い出されてしまった。かくて祇王二十一、祇女十九、母刀自四十五の三人は尼となり、祇王寺の土地で仏門に入った。そこへまもなく仏御前も剃髪して尼の姿で加わったのは、十七の歳であった」 春 まつられて 百敷き春や 祇王祇女 夏 短夜の 夢うばふもの ほととぎす 秋 いざよいの 月かくれにし 露の冷え 冬 五十年の 夢とりどりの 落葉かな 智照尼 祇王寺の吉野窓