高 台 寺

銀閣を出て次の目的地である清水寺に向かおうと思ったが、タクシーの運転手さんに高台寺行きを勧められる。今回の夜間拝観は、銀閣寺・高台寺・清水寺の他に、圓光寺もライトアップをやっているそうである。 高台寺の参道を登って、庫裡の左手より入山する。この寺は東山霊山の山麓、八坂法観寺の東北にあり、正しくは鷲峰山(じゅぶざん)高台聖寿禅寺という。この寺は秀吉の菩提を弔うために、北政所(禰々)が慶長十年(一六〇五年)に建仁寺の三江和尚を開山として開創したお寺である。徳川家康は淀君、秀頼と対抗する北政所を政治的配慮より支援し、この高台寺の造営に多大の財政的援助を行ったので、寺観は壮麗を極めたという。一六〇〇年の関ヶ原の戦いの後、一六〇三年には家康は江戸幕府を開いており、一六〇五年に高台寺が完成、それから一六一四年が大阪冬の陣、そして一六一五年の大阪夏の陣で豊臣氏は滅亡している。しかし一方禰々は出家して後陽成天皇より高台院の号を賜って、このお寺にて七十六歳の生涯を終えている。 裏手から廻って山内に入ると、そこに開山堂が見える。ライトアップされている開山堂の前は池となっており、東が臥龍池、西が偃月池と言う。偃月池の真ん中に、方丈と開山堂を結ぶ渡廊、楼船廊が架けられてあり、その中ほどに観月台がある。この観月台は柿葺きであり、秀吉遺愛のものという。偃月池には、北に亀島、南の岬に鶴島を造っており、桃山時代を代表する庭園と言われている。作庭はかの小堀遠州である。開山堂より、方丈庭園へ廻る。こちらも唐門を真ん中に据えた枯山水庭園であり、白沙の部分が極めて広い。壁に沿って左右に楓樹、枝垂れ桜などの樹木を植えている。中央手前には三角錐の砂盛りが二つある。ライトアップは、唐門にまず照明が当てられ、そしてその左右が照らされ、それから白沙の中央に置かれた二つのライトが唐門を中心にして照らし出し、そのあと白沙と苔の陸地に沿って置かれたイルミネーションの小さな光が転じ、それから庭の手前に設置されたライトより、三本のレーザー光線が右手と左手に各々放射される。庭を舞台とした光の芸術とも言えるこのライトアップが、時間の経過と共に一つずつ点滅してゆく様をしばらく眺め入る。

高台寺 ライトアップ


コメント

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