高 台 寺


小さな門を潜って、開山堂への道を進む。右手には臥龍池がある。この池の畔には、石組みはまったくない。そして池のまわりは楓樹などが植えられている。この池を跨いで、開山堂と霊屋(おたまや)を結ぶ臥龍廊があり、その廊下は竜骨のように急勾配で撓って一段と高いところにある霊屋へと繋がっている。ライトアップはこの臥龍廊あたりを照らし出しており、その渡廊とまわりの紅葉した楓が池に映じているのが、また何とも言えず風流である。開山堂自体はわりとこぢんまりとしている。開山堂を出て、坂道を登って行くと霊屋がある。秀吉と北政所を祀っており、屋内の厨子も開帳されている。右に秀吉、左に北政所の木像が安置されており、中心に須彌壇と厨子があり、その一面に華麗な蒔絵が施されている。その蒔絵の模様としては、草花や楽器が繊細に描かれており、高台寺蒔絵として重文となっている。光沢のある漆黒の上に描かれた金色の草花や楽器の絵は、実に豪華絢爛である。家康はこうして北政所の歓心を買って、秀吉が籐吉郎と呼ばれていた時代からの家来である加藤清正、福島政則などの北政所と近しい武将を味方に付けた上で、豊臣家を滅ぼしてしまうのである。しかしこうして、一方で禰々を大切にして秀吉の霊屋にこれだけの財政支援をすると言うこと、そうしてまた北政所亡き後もこのお寺を取り壊しもせずにそのまま残したということ、この辺りが家康の懐の深さなのかもしれない。しかしながら、他方加藤家、福島家は後に徳川秀忠によって見事にお家取りつぶしにあっているのだ。

高台寺 臥龍廊

お霊屋を出たところで、臥龍廊の急勾配の階段を見る。それから傘亭、時雨亭のある方へと登って行くが、この著名な茶室は残念ながら拝観できなかった。そこで竹林を通って、また方丈へと戻る。方丈に入って、正面より方丈前庭の光の芸術をゆっくりと鑑賞する。これはまさに庭の中心にある勅使門を主人公とする光の劇とも思われる。方丈内の部屋に、龍の絵が襖に描かれてある。「大宇遊龍」の文字が書き添えられている。唐門の方から出口に向かう途中に、霊山観音のお姿がこれもまたライトアップされているのが垣間見える。帰り道の高台寺の参道も、フットライトで照らされていて、また風情がある。参道の出口近くの白壁に、「高台寺夢あかり」のスライドが映し出されていた。これまたライトアップされている八坂の塔のそばを通り、東大路へと出る。





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