大 河 内 山 荘

 夕闇の迫る中、大河内山荘に入る。最初にお休み処に行き、抹茶を頂く。お休み処より、大乗閣のあるに登る。茅葺きのなかなか立派な建物で、その前庭は見晴らし台となっており、京の町並みが見下ろせる。そこから茶室滴水庵へと行く。     

庵には赤い毛氈が敷いてある。そこに坐って露地を眺める。左手前には蹲いもある。順路には所々に枯れ滝の石組みもあるが、これは雨が降ると実際の滝となるように造られているようだ。さらに山道を登ると、嵐峡の展望台へと着く。嵐山が紅葉の錦となっている。そして遥か保津川の峡谷が見下ろせる。展望台から降りて順路を進むと、今度は京洛の町を見渡すことの出来る四阿がある。東山の山並みと京の町が、薄い夕靄に霞み始めている。

順路を降って行くと、大河内伝次郎の記念館がある。大河内伝次郎は三十四歳の時よりこの山荘を建て始め、六十五歳で亡くなるまでこの山荘の造築に生涯をかけたと記してある。昭和の名優が一生をかけて造り上げた見事な芸術品である。想像していたよりは遥かに規模が大きく、又造築に様々な趣向を凝らしているのに驚かされた。記念館を出るころはもう足下も暗く、ライトが順路に点けられていた。この園内にある静雲亭で、一度食事をしてみたいものだと思った。

大河内山荘より出て、嵐峡の方へと向かう。途中に亀山公園があり、散歩道としても整備されていると感じた。この公園には平安時代前期の嵯峨天皇、鎌倉時代中期の亀山天皇、鎌倉時代後期の後伏見天皇の火葬塚がある。夕闇の中に紅葉の紅が、儚げに浮かんでいる様も幽玄である。

保津川の畔に出ると、渡月橋あたりは灯が点り、家並みも橋もシルエットになっている。カメラを夜間モードにセットして、渡月橋付近の夕景を撮る。

大河内山荘の四阿


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