海 龍 王 寺

法華寺の東隣にある海龍王寺に行く。このお寺は平城京の北東隅にあったので、隅寺または脇寺と呼ばれているそうである。天平三年(七三一年)光明皇后の御願によって藤原不比等の旧宅を仏閣と改め、唐より帰還してきた僧・玄昉(げんぼう)を開基として創建された。玄昉は唐よりの帰還途中に暴風雨にあったが、東支那海の狂瀾怒濤に漂いながら海龍王経を唱え、九死に一生を得て種子島に漂着、貴重な経綸を持って帰京している。その功により玄昉は僧正に任ぜられ、この海龍王寺の住持となったのである。この玄昉は吉備真備とともに、聖武天皇の側近として仕えた僧である。

草の生い茂った参道を進み、入山して境内に入る。境内には本堂と西金堂が立っているが、全体として荒廃したお寺という印象を受ける。本堂に上がる。堂内には鎌倉時代の作と言われる、十一面観音が安置されている。鎌倉時代の作であり、宝冠や瓔珞など極めて装飾性が高く、作りも華奢である。しかし御仏のお顔立ちは気品に満ちており、心惹かれた。京都の法金剛院にも鎌倉時代の作という十一面観音があったが、その観音様との類似性が強いように思う。お寺のパンフレットにはこの十一面観音の記述は無いが、もう少し注目されて良い仏様のように感じた。

またこのお寺には国宝の五重小塔があることでも有名である。

海龍王寺




 

コメント

このブログの人気の投稿

県 神 社

天 龍 寺

金 閣 寺