東 福 寺

 寺務所より方丈に入る。当日は映画のロケを行っており、武士や僧侶の格好をした人たちが沢山居た。方丈庭園は重森三玲氏の作で、南庭は禅院式枯山水である。南庭は左方に巨石を縦横に用いて四仙島を表現し、右方に苔に覆われた五山を配している。四仙島の方は、長い巨石を横にして白沙に沈めているものがあり、これは存在感があるが、その他の立てて置いてある巨石が尖っており、その為か石組に今一つ落ち着きがない、との感じを受けた。石組を見る者の心に、統一感や調和感を与えるものとなっていないのが残念である。方丈の裏手には、井田市松の庭、小市松の庭、北斗七星とあるので、八相の庭と呼ばれており、近代禅宗庭園の白眉と言われているようであるが、全体から受ける印象はさほど高雅なものではなかった。

方丈より通天橋を渡って、開山堂へ行く。通天橋の中程に立って、渓谷・川・山の緑そして開山堂を眺望する。ここは楓が多いせいか、景色がとても柔らかである。開山堂常楽庵は聖一国師入定の地に建てられたもので、横に広がりのある一層の建物の上に、正方形の上層・伝衣閣(でんやかく)が乗っており、建物としては珍しい造りである。伝衣閣には布袋和尚を祀っているとのことである。庭園は池泉式と枯山水の折衷式で池のむこうが築山となっており、その手前が白沙で市松模様が砂に描かれている。白沙、刈り込み、岩組、築山そうしてその向こうの山の中腹からまっすぐに伸びた木立と、色々と揃っている。特に感銘を受ける庭ではないが、なにか身近な安心感のある庭である。普門院の広縁に腰掛けて、少しばかり常楽庵と庭園を写生する。

開山堂から出て、通天橋に下る道から眺める愛染堂付近の風景は、しっとりと落ち着いていて風情あり。秋の紅葉の頃に、また訪れたいところである。

普門院 庭園


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