実 相 院

 実相院門跡は、当初紫野にて鎌倉時代の初期に開創されたお寺である。開基は鷹司兼基の子、静基(じょうき)僧正と言う。ご当地に移ってきたのは、室町時代の足利義満の頃である。その後兵火で伽藍の多くを消失したが、江戸初期の第十七世義尊僧正の時に、皇室と徳川家光の支援により再建・復興した。義尊僧正のあとには、後西天皇の皇子義延親王が入室され、以後法灯は代々皇孫を持って継承されるようになった。明治になって皇族の入室は廃止され、昭和に入ってからは天台宗から独立して単立寺院となっている。

門構えは流石門跡寺院だけ合って、立派である。東山天皇(在位一六八七―一七一〇年)から四脚門・御車寄せ・客殿を賜ったという。御車寄せに上がると、右手に使者の間がありそこに狩野永敬筆の「七仙人の図」および「四季の草花」「紅梅下の鶏」などが展示されている。最初に客殿に行き、「一仏八僧の庭」を見る。往時は蹴鞠の庭であったのを、明治時代に現在のように作庭し直したようである。釈迦が伽邪園において八大弟子に華厳経を説いた構図を表しているとのことである。左手奥の楓の紅葉が、暮れなずむ気配に沈潜していくような印象を受けた。客殿の裏に回ると、そこには池泉回遊式庭園がある。善阿弥の孫の庭師又四郎が作庭したものという。まず無難な庭であるが、印象に残るものは少ない。離れ書院等を廻るが、夕方なので部屋の中は暗くなってきており、足早に見終わる。


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