千 鳥 が 淵
大手町よりタクシーで九段の二の丸公園入口まで行く。門に架かる橋の左右は桜が満開であり、まさに桜花のトンネルとなっている。しかし橋を渡って入城すると、意外と桜は少ない。門より再度出て、千鳥が淵に沿って歩く。櫓の下の桜は、傾斜地にあるためか陽光を求めて下方に枝を伸ばしており、濠と土手、石垣その上の樹々と照応して、傾きかけた陽光を浴びて実に美しい。フェアモント・ホテル側の公園には、夜桜を愉しむための場所取りが始まっている。ボート乗り場のある方面まで歩いて、また同じ道を戻りつつ桜を愛でる。橋の左手の方は桜の木が少ないが、こちらは遠く町並みを望むことが出来て風情のある景観である。城と濠と桜は、日本の情景としてよく似合うものである。
「年 々 歳 々 花 相 似 た り
年 々 歳 々 人 同 じ か ら ず」
昔日の武士、町人の愛でた桜を、今こうして現代の我々も同じ思いで愛でているのも、思えば不思議なものである。千鳥ヶ淵
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