退 蔵 院

 退蔵院は正面の庫裏が立派なお寺である。袴越しの大玄関より、方丈へと入る。方丈前庭は庭らしい作意のない庭で、趣なし。方丈の西側に枯山水がある。

これは狩野元信作庭の庭である。石組みの滝口から流れる白沙は、石橋を潜り中之島を巡って、左手の海へと出て行く。その左端にもまた石橋が架かつている。枯れ滝には玉石を配し、蓬莱島の石が割れているのも風情あり。小さな庭ではあるが、凝縮感あり。石組みや石そのものの形も面白く、眺めていて飽きのこない庭である。

 余香苑へと廻る。入り口に新しい石庭がある。そこから下って行くと、水琴窟もある庭となっている。池の手前から、庭を観賞する。この庭はややなだらかな斜面に造られた庭である。右手奥に石組みで滝を造っており、そこからの流れが池に注ぎ込んでいる。左手には躑躅の大刈り込みがあり、その上に傘亭がある。右手の滝の名は龍王滝といい、藤棚の下からの眺めは優しく女性的で落ち着きがある眺めである。調和感と安らぎを感じさせる名園と思う。



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