三 室 戸 寺

黄檗駅に出て、また京阪にのって三室戸駅で下りる。そこより歩いて二十分位の山裾に、三室戸寺の入り口がある。当山は西国観音霊場十番の札所で、本山修験宗の別格本山である。天平時代末期の光仁天皇の勅願により、いまから約千二百年前に創建され、本尊は千手観世音菩薩である。なだらかな坂道を登って行くと、右手に大きな紫陽花園、と躑躅の植え込まれた丘が見える。石段を登って行くと、本堂がある。本堂の前には、法金剛院と同じく蓮の植えられている大瓶が並んでいる。蓮の開花する時期には、さぞかし見事であろうと思われる。本堂にお参りして、その奥の三重塔を見る。江戸時代の建築物である。石段を下りて、今度は与楽園を見る。ここには中根金作氏作庭による枯山水と池泉庭園がある。それぞれに、庭としての構成は整ってはいるが、開いている土地に設えたという感じがありありとしており、やや風情に欠けるのは残念である。庭というものも寺院等の建物があり、そして塀や山などの庭の空間を限定するものがなければ、いくらできばえの良い庭であっても、残念ながら風趣を味わうことは出来ないものであると言う感じを強く持った。

   夜もすがら 月をみむろと 我ゆけば

          宇治の川瀬に 立つは白波  花山天皇御製 

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