黄 檗 山 萬 福 寺

白雲庵を出て、黄檗山萬福寺に入山する。当寺の概略には「洛南宇治、妙高峰の裾野、萬緑の古松が千歳普遍の法を語るが如き景勝の地に、明朝様式の諸堂伽藍が整然と佇む黄檗山萬福寺は、日本三禅宗のひとつ、黄檗宗の大本山であり、本宗専門道場が置かれている」と記してある。開山は臨済宗正伝三十二世の隠元禅師である。禅師は二十九歳の時に中国福建省の黄檗山萬福寺において出家し、各地での十七年の修行の後、萬福寺の住持となった。その名声は日本にも聞こえ、日本より再三の招聘を受けるようになった。そしてついに一六五四年に長崎に渡来、後水尾天皇、四代将軍家綱、妙心寺住持の龍渓禅師など朝野をこえて多くの方の帰依を得られた。そして一六六一年に本山を普山されたという。中国の黄檗山は、臨済義玄の師である黄檗希運禅師の修行の地としても有名である。

入口の総門は朱塗りの四脚門で、左右を低く中央を高く作られている。屋根にはインドから伝わるマカラと言う想像上の動物が置かれている。門を入ると、右手に放生池があり、参道には菱形の石が敷かれている。山門の左手には、白雲関と言う明風の門がある。ここから白雲庵の名が取られたのだと思う。立派な三門を潜って行くと、正面が天王殿である。そこから斎堂のほうに廻り、魚の形をした木鐸を見て、本堂内にはいる。堂内には十八羅漢が祀られているが、本堂正面の卍くずしの組子と月台以外には、あまり中国風の造りはない。本堂より禅堂前を通って、回廊を下って、開山堂に行く。昔見たときの印象では、随分と中国風のお寺だなと思っていたが、今般見てみると、その感じがやや少ない。当寺の拝観券は木鐸の形をしており、そこには次の言葉が記されている。

  謹 白 大 衆 (キン ペ ダー チョン)

  生 死 事 大 (セン ス スー ダ)

  無 常 迅 速 (ウー ジャン シン ソ)

  各 宜 醒 覚 (コー ギ シン キョ)

   慎 勿 放 逸 (シン ウ ファン イ) 

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