法 輪 寺

中宮寺より法輪寺へは、自転車で十五分くらいである。法輪寺は三井という地名にあることから、三井寺とも呼ばれている。三井という名称の由来は、聖徳太子が飛鳥の里より三つの井戸をこの地に移したことによるとされている。

法輪寺の創建は聖徳太子の皇子である山背王(やましろのおおきみ)によるものと伝えられ、当初は法隆寺・西伽藍の三分の二くらいの規模を持っていたことが、発掘調査で解っている。現在の伽藍は江戸時代・元文二年(一七三七年)に復興されたもので、三重塔のみは二重の層まで当初のものが残っていたが、昭和十九年に雷火により焼失。その後昭和五十年に再建されている。したがって私が始めてこのお寺を訪れた昭和四十七年頃には、まだこの三重塔は再建されていなかったのである。

伽藍配置は法隆寺式であるが小ぢんまりしており、阪神・淡路大震災の揺れのためか、瓦が一部ずれている所が見られた。講堂内には薬師如来座像・虚空蔵菩薩立像(ともに飛鳥時代の作)・十一面観音菩薩立像(平安前期)などが立ち並んでいる。残念ながらこれらの仏像の中には、印象に深く残るものはない。 

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