誠 心 院(和泉式部の墓)
秋の特別公開のお寺を廻るべく、阪急で京都に向かう。行楽シーズンのためか、四条河原町行きの特急には長蛇の列が並んでいる。四条河原町で腹ごしらえをする。天ぷらうどんにキムチを入れて貰って食べる。なかなかうまい。新京極の入口の交番で、特別公開中の誓願寺の所在地を確認する。若い警官が丁寧に教えてくれる。誓願寺に向かうべく新京極を上がっていくと、右手に誠心院というお寺があり、そこには和泉式部のお墓があると書いてある。中に入ってお寺の人に聞くと、墓地の奥の戸を開けた中に和泉式部のお墓があるという。木の戸を開いて入ると、そこに宝篋院塔の形をしたお墓がある。高さ三メートルはあろうかと思われる、立派なお墓である。その墓は新京極の通りに面しており、表通りからも網戸でなかをのぞくことが出来るようになっている。王朝時代の恋多き閨秀歌人であった和泉式部のお墓が、こうして京都の繁華街の真ん中に残されているという所に、京の町の奥深さと味わいがあると思われた。
あらざらむ この世のほかの 思い出に
今ひとたびの 逢ふこともがな
もの思えば 澤の蛍も わが身より
あくがれいずる たまかとぞ見る
黒髪の 乱れも知らず 打ち臥せば
まずかきやりし 人ぞ恋しき
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