京 都 御 所

 今日は秋の特別公開の最終日であり、入門したのは、南西にある宣秋門である。入場料は無料である。考えてみれば国の資産であり当たり前のことであるが、他のお寺などは四百円から六百円の入場料を取るのが当たりまえとなっているので、何か得をした感じがする。車寄せ、諸大夫の間、新車寄せの前を通って、紫宸殿のほうへと回る。南にある建礼門院のところには皇宮警察が番をしており、承明門の前には儀仗兵らしき二人が、不動の姿勢で立っていた。南東の建春門の前を通り、春興殿の手前の日華門より南庭に入る。大変な行列となっている。左近の桜、右近の橘が紫宸殿の前に植えられている。紫宸殿は御所の正殿で、即位礼や節会などの厳儀を行うところである。この紫宸殿はもともと里内裏のひとつであった土御門東洞院殿の紫宸殿であり、本来の平安京の大内裏は、ここより西北に二キロくらい離れたところにあった。そして即位礼は本来大内裏内の大極殿で行うものであったが、一一七七年平安末期に炎上後は再建されず、その後土御門天皇の即位礼までは太政官で行われてきた。しかしこれも失われて、応仁の乱となる。その次の後柏原天皇以来は、現在の紫宸殿で即位礼は行われ、それ以来この土御門東洞院内裏が、御所として拡張されてきたのであった。

 現在の紫宸殿は桧皮葺き屋根の木造高床式で、純和風寝殿造りである。屋根の張りも優雅で立派であるが、天皇の礼殿として考えると、豪華と言うよりは質素ともいえる造りである。造りとしてはかえって二条城などの建物のほうが、装飾も絢爛であり豪華と思われる。しかし御所は神聖な天皇の政および生活の場として、伊勢神宮に見られるように簡素かつ清浄な美を持つものでなければならないのだろう。御門については、天皇のみが(外国元首も)建礼門を使用、皇后と皇太子(外国の首相)は建春門、北側の朔平門は皇后御常御殿の正門、西側北の皇后御門、皇子女の用いる清所御門、そして宜秋門(唐門、公家門)は摂家・親王・門跡・公家などが用いた門である。

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