相国寺 開山堂

 

 

 タクシーで相国寺へ行く。堀川通りを下って今出川通りを東へ向かい、烏丸今出川に出る。ここは御所の北側で、相国寺への参道の両側には同志社大学がある。薩摩藩邸もこの辺りにあったようである。相国寺は三代将軍足利義満創建(一三九二年)で、正式には万年山相国承天禅寺と言う。創建時義満は左大臣であり、左大臣は中国で相国と言ったことから、相国寺と命名されたようである。臨済宗相国寺派の大本山であり、金閣寺・銀閣寺は当寺の山外塔頭である。

 開山堂を特別公開中であり、ここは開山夢窓国師を祀っている。歴代の国師像が祀られている。しかし年表によれば、夢窓国師は一三五一年没となっているので、夢窓が実際に開山したのではなく、庭好きの義満が夢窓を偲んで開山としたのであろう。庭園は賀茂川の水を引き、庭の左側と正面中程に流水を通しており(これを龍淵水という)、流水の内側を白砂と石庭として、その向こうに苔と石と樹木を配置した独特の形式である。正面右手前に大徳寺本坊庭園と同じく、平たい石を埋め込んで平面のみを出している島を配置している。これは亀島を寓意しているものなのかもしれない。そうすると左奥の立石が、鶴島となるのであろうか。無一物という説明をしていたが、この庭も自然を抽象化し、また流れで庭を仕切ることによって空間を凝縮させると共に、その向こうの苔・石組み・樹木の配置で広がりを持たせるという、他に類を見ない庭の形式である。

 中央左奥の楓樹が紅葉しており、美しい彩りを添えている。流れの向こう側の庭は室町時代前期の夢窓国師による作庭方法のイメージもあるが、前方の石庭から推察すると一六〇〇年前後の作庭となるのだろうか。極めて趣深し。

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